あにめ感想にっきV3
手キャプつきアニメ感想やアニメ映画感想ブログ
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鑑賞日:2011/05/19(木) 21:50

 キッズアニメ映画は、終盤になると、朝上映のみ、土日のみになったりしますが、そうでないこういう作品の場合、レイトショーのみになるようで、この前始まったばかりと思っていたこの作品も、気づけばレイトショーオンリーになっていました。気持ち的にはもう少し待ちたかったんだけど、近場の映画館ではもはや最終日だったので、四の五の言ってる余裕はなかった。つか最終日が木曜日って珍しい。

 見てしばらくして思ったのは、この映画、実は3D上映を予定していたのではないだろうか ということ。

 まず、アニメ映画では非常に珍しいシネスコサイズ(16:9よりもっと幅広の画面比率)なことに驚いてみたものの、3D予定だったのなら、奥行きや飛び出し分、左右を多めに描く必要があると思うので、16:9より広めに作っていたのではないかと思うところから、疑念スタート。さらに見進めていくと、手書き風ながら、3DCGであることを意識させるようなぐりぐりするカメラワークだったり、飛び出しを意識したかのような動き、立体感を出しやすい俯瞰や煽りの構図が目立っていた。そして、2D作画であれば、あらかじめ焦点を用意して、遠景や近景はボカすのがセオリーと思われる中、妙に鮮明に描かれている遠くの景色なんかも見られた。

 でもそういうのが顕著に見えるシーンは前半に多くて、後半は普通の2D作品的な絵作りに戻っていたと思う。(こういう見方をしていると)まるで3D映画にするのを断念したかのように。そしてリアルさや説得力、空気感なんかは3Dであればそれなりに勝手についてしまうところが、2Dであることで説明不足と感じるところが増えてしまったかもとも思う。

 内容の方は、事前知識として京都や平安京がどうなっていたかを持っていなければ厳しい感じでした。てっきり主人公が京都や平安京に対して無知で、いちいち他の人に聞いてくれる説明を受けるといった親切設計かと思いきや、普通に訳知りで、おかげであまり説明してくれないという…。タイムスリップをすぐさま受け入れるところとか、順応性も高かったりして、視聴者を置いてどんどん先に行ってしまう感じでした。

 順応性が高いおかげで、鬼に追いかけられる>寺に逃げ込む>いつの間にか平安時代に飛んでいる>鬼を倒すミッションに巻き込まれる>大蛇ゲット>鬼側の意見も聞く>黒幕を知る>倒す という敵味方や状況が二転三転する話なのに、ひょうひょうと抜けていく。まわりの状況に合わせて自分の考えもどんどん変わる。どこまでも冷静で、感情的な部分がほとんどない。普通は観客の方が冷静で、「状況から見ると、こういう行動をするのがいいのかな?」と、先に考えるもの(それが的中するかどうかは別として)かと思いますが、この主人公の場合、感情的な部分があまりないので、決断が早く、観客が考えるより早く彼の行動が起こってしまう。

 たとえば平安時代に飛ぶ→起きる という事件があったとき、観客はまわりの風景などから平安時代にタイムスリップしたことを把握する。主人公に期待するのは、驚くこと・飛んだ理由を知ろうとすること・戻ろうとすること…といった反応ですが、この彼は驚きこそすれ、平安時代であることを結構早めに認識し、いち早くここにいる意味を受け入れる…という結構常人離れした対応をするのですよ。

 大蛇もすぐ慣れちゃうし、鬼の人ともすぐ仲良くなる。相手の気持ちを考えて恨んだり憎んだりしない。…もはや聖人というか変な人です。

 こういう話のセオリーとしては、
・熱血お人好しの主人公にする(デジモンクロスウォーズとか)
・いくらかゲームだと思っている設定にする(戦国乙女とか)
・転生者としての記憶がある・あらかじめ夢で見ている
・まったく説明がなく、受け入れるしかない
・そもそも元の世界に帰りたくない
・目的を持って来ている
とかあると思いますが、特に当てはまらない感じなのよね。転生者として~が微妙にあるかないかぐらいで。この話のタイプだと、“ちょっとおバカで、いちいちゲーム的解釈をする主人公”ぐらいが収まりがよかった気がするなぁ。「えーとつまり、僕は勇者で」「勇者?巫女ですよ?」「その“鬼”ってやつを倒せばゲームクリアってわけだね!」「げぇむ?くりあ? ええ、まぁそんなところです」「オロチ?ああ、勇者だけが使える的なレアアイテムですか」みたいなノリの。途中でゲームじゃないことに気づいて(実感して)、苦悶する展開を含めてね。ラスボスでは殺し合いであること、自分が死ぬ可能性があることを十分に自覚しながら、それでも戦いに臨む姿がある風な。

 話を軽くしたくないとか、主人公をバカにしたくないとかそういうことがあるのかも知れないけどね。

 まぁなんか、とらえどころのない主人公でした。感情がなくて常に「役割」を探しているみたいな。

 そういう感情のない「理想」を押しつけるのって、宗教的なイメージがあるけど、ある宗教を押しつけるとかでもなく、ある考えを押しつけるでもなく、宗教を否定するのでもなく、「どちら側にも理があり、間違いがある」というのを見せるものにしてある…という、そういう面でもつかみどころのない話でした。ストーリー展開上、一応ラスボスは出てきますが、その時点ですでに鬼側からも、京側からも否定された存在になっており、倒すことにそれほど意味はないみたいな。

 平安時代の京都を描くにあたって、宗教を抜きにはできないという、「宗教はあって当たり前」を自分に取り入れるのが難しい感じだったかも。「宗教」と言われると、特別な意味を考えてしまうから。先住民と移民との問題で、それぞれに違った価値観(宗教)があるぐらいの話と思えなければいけなかった。別に宗教が「異教徒」を迫害するのを問題視する話でもないし、宗教を肯定する話でもなかった。本当にただ文化的な意味としての「宗教」があるだけ。

 結局、何か“テーマっぽいもの”を見つけて追ってみると、それはテーマじゃなかったり、小難しいところで考えてみても、それはたいした意味がなかったり…笑わせたいのか泣かせないのか考えさせたいのか、それすらわからなかった。自分にわかるのは「鬼神伝は作画アニメである」までだよ…。

 つことで、見たことに後悔はないけど、正直なところ見なくてもよかったとも思う。

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