
内容的には子ども向けっぽいのに、上映時間は大人向けというギャップがなんとも。90分にした方がメリハリがよかったんじゃないかとも思ってしまうし。自分が今 物語のどの辺にいるのかが感覚的にわからなかった、起承転結のどの辺にいるのかという感覚。
劇中で目的がころころ変わるので、どこまでを「起」とするかの判断も難しいところだし、よくある起承転結の中に細かい起承転結があるという作りでもなく、それぞれの「起」の要素を持ち続けたまま次のシーンに転換する。子どもたちは長い道のりの間、ずっと学校で夏合宿をしている延長にしかいない、いったん落ち着くといった状態にならず、すべての「起」を抱えたまま「承転結」へ突入する感じ。
メインの話であるウサギの件にしても、要所要所でぶり返され、最初の「起」が継続されていることを意識させられるようであった。
ポチの星に着くか着かないかあたりで「遠くまできちゃったな」的なセリフがあったと記憶しているけど、流されるままいつの間にか遠くまで来ちゃった…というのは見てる側としても感じていた。「学校で合宿してて、ケガをしたイヌを助けただけなのに」気づけば宇宙の果てである。
映画で一気に見るから、TVシリーズのような分割は不要である…という意見はわかるけど、ちょっと伏線過多ではなかったのかと。最終局面に持ち込む情報が、「整理されないままにこれまでの全部」と言われてしまうとなかなか厳しいものがありますよ。
劇中で劇中内での「結」がないということは、この「宇宙ショーへようこそ」という作品を小さい単位でも一度も認識させることなく、最終局面を迎えるということになるわけで、それまでのパターンを踏まえての展開推測や、それぞれの役割・能力なんかも見えづらく、最終戦で誰が何をしてどうなるはずかをわかった上での応援的な視聴をすることができず、ただ映し出されるものを見てることしかできない…という状態になってしまいがちだと思うので、何かしらの起承転結を置いて、「宇宙ショーへようこそ」を観賞者に認識させておいてもよかったんじゃないかなーと思う。
ウサギの件 → 未解決
バイトの件 → バイトしたことでは解決せず不完全燃焼
ワサビの件 → 重要ファクターとして持ち越し
みんなの夢 → エンディング用
宇宙ショー → 最終アクション用
…全部持ち越しでしたな。こう見ると、ひとつだけ浮いてるバイトの件がもったいない感じに見えるかも。月でのそれぞれのバイトを通して、小さく月のヒーローになるといった、“小さい宇宙ショーへようこそ”が入り込める場所に見える。「月」という一番近い星での出来事ということでも、さらに遠いポチの星との比較になれるし。
月旅行編でちょっと欲を出しちゃったのかなー。月旅行編までを「のび太の恐竜」における鼻でスパゲッティぐらいまでにまとめてあるぐらいが自分としては好み。短編だとバイトして帰れる感じで、長編だと帰れそうになったところで帰れなくなるエピソードが入るイメージ。本作だとバイトで解決できずに、のちのちの伏線になってしまうワサビを使ってしまったことで月旅行編としての区切りが薄れてしまった気がする。
まぁそれでも、まとめると、子どもたちのひと夏の成長物語…ということになるわけではあり、普通におもしろい映画ではあった。映像の細かいところを見ているだけでも楽しく、ちょっと懐かしい感じのSF感覚もよかった。かみちゅ!に出てきた宇宙人さんもいたし。
しかし「ここではあたしたち、スーパーヒーローだからっ!」というCMでやってたセリフから、低重力環境でスーパーマンになるドラえもん話かと期待したのになー。重力の話もそれなりに出ていたのに、そこまでではなかった。
![]() | 宇宙ショーへようこそ 公式ガイドブック (2010/07/27) ポストメディア編集部 商品詳細を見る |
二度三度見なきゃわからないと言われながら、一度見で何か書くのは結構なプレッシャーですな。でも感想を書くってのは、二度見ぐらいの効果はあるんじゃないかと思ってみたり。何度か書いているけど、見終えた段階では上で書いたことなんて1ミリも思ってないからね。キーボードをたたきながら物語を反すうして感想文をひねり出す行為…結構いろいろと見えてくるものがありますわ。
自分の感想をまとめた上で、それを確認するためにもう一度見たくなるということからすると、三度見の効果はないようだけど。とは言っても二度見すらしないわけですが…。
つことで、世間的に夏休み突入しちゃったので、映画鑑賞はしばらくお休み。でも17日、24日公開分は9月になってもやってるとは限らないので、もう少し早めに見たいところ。みつばちハッチはそれほど混まないでしょ…。アリエッティはいつまでもやってそうなのでしばらく放置。映画はしごの際に便利に使えそうだ。
![]() | 宇宙ショーへようこそ 【通常版】 [Blu-ray] (2011/02/09) 黒沢ともよ、生月歩花 他 商品詳細を見る |
スポンサーサイト

ということで、ここを逃すと夏休みに突入して(子どもたちでいっぱいになって)しまうポケモン映画を駆け込みで金曜に見てきました。いつから夏休みかよくわからなかったので、行きがけにランドセルの少年少女を見かけて安心しました。平日の昼間は基本的に修学前のお子さんを連れた親子連れまでしか来ないものになっているので。まぁ、結論からいうと結局ひとり映画館でした。プレミアスクリーンなのに…。公開から間もないのに…。まぁ気持ちよく見られたのでよしとする。
宇宙ショーへようこそとはしごする都合で川崎に行きました。川崎には映画館が3館あって、ポケモン映画は3館ともやってるんですが、買ってあった前売り券がTOHOシネマズ限定なので選択肢はなく。3館とも観賞対象にできれば、スケジュールの組み方はいろいろあったのになぁ。
つことで感想。これまでの3部作と比べると、だいぶまとまりのあるいい映画でした。人間、ポケモンともに、行動の理由はわかるし、それぞれの目的とすることもちゃんと理解できる。事件はきっちり完結して、もやもやしたものも特に残らない。…当たり前にできていてほしい気もするところではありますが、ここんところのポケモン映画は、ねぇ…。これまでより制約が少なく、何だかのびのび映画を作っているように感じたり。セレビィは別に配らなきゃいけないポケモンということもなかっただろうし。
“セレビィがやってくる町”という舞台設定で、映画館でもセレビィがゲットできるというシンクロもいいし、エンテイ、スイクン、ライコウという有名な伝説のポケモンが一気に出るというのも気持ち的に盛り上がる。ギラティナとかディアルガとかはこれといって見知ったポケモンではなかったし、彼らよりはよっぽど身近。
ストーリーも非常にわかりやすく、状況を把握するのがとても楽だった。敵役の目的がそそくさ明かされていたのがよかったのかも。彼がこれまで得てきた利権を考えると、綿密な計画をたててこの作戦に臨むのはとても理解できるところでもあるしね。町民を避難させたのはポイントを探しやすくするため、バレないためでもあるかもしれないけど、森林以外の犠牲者が出ないようにいくらか配慮したのではないかとも思う。彼が力でいろいろと得てきた20年という月日の重みを感じたりもする。自分が力を失ったら、これといって経営能力とかがないことを自覚しているんだろうなぁ。
もう少し嫌な見方をすると、彼(コーダイさん)が時読みの力を得ていたからこそ成り立っていた商売や、発展した産業とかもあるはずで(もちろんそのおかげで成り立たなくなったところもあるけど)、彼が力を失うことで損をするのは彼だけではないのだということも忘れてはいけない気がする。町ひとつを犠牲にしてでも、その力をもって人民を引っ張っていく人材を手に入れるということは、コーダイさん本人以外でも結構魅力的ではないかと思ったりする。
そういうことを思った上で、「それでも、セレビィや自然を犠牲にして手に入る力なんてあってはいけない!」という正論を、胸を張って言える力こそが本当の“力”である…ということを感じて、それを身にしてくれたら…と、思うなぁ。そういうのってだんだん通らなくなるものだし。そういや宇宙ショーでもそんなこと言ってたな。
ポイントを巡る攻防も実にハラハラドキドキものでした。個々の能力は知っているので、それがどうつながっていくかの流れがかなり心地よく。ゾロアークがひとりじゃないからこその勝利というのもだいぶ教育的でよかった。
気になったのは、ネタフリに使っていたのに、ほぼ事件のことしかやらずに、たいして意味のなかった新しいポケモンスポーツの扱いぐらいかな。まぁ、試合を見たところでたいしておもしろくはないんだろうけども。
あと、性格の悪さでなんかイラッとしたシェイミさんと比べて、いたずらっ子だけどすぐ「仲間」って言ってくれるゾロアさんは憎めない子だった。その「仲間」って言ってくれる信頼に応えたくなるような。基本的に他者を信じようとしてくれる心をなるべく壊したくないというか。そんなゾロアさんなのに、コーダイさんを一瞬で「わるいやつ」と表現するということで、コーダイさんが悪い奴であることがわかりやすくもあり、ゾロアさんの信じる心を踏みにじったコーダイさんを許しがたくなるというか。
というわけで、よくまとまったいい映画だったと思います。
![]() | ポケットモンスター おしゃべりぬいぐるみ ゾロア (2010/07/10) タカラトミー 商品詳細を見る |
![]() | 劇場版ポケットモンスター ダイヤモンド・パール 幻影の覇者 ゾロアーク [DVD] (2010/12/17) 松本梨香、大谷育江 他 商品詳細を見る |
| ホーム |